住民税を分割ではなく一括で納付する理由

住民税通知書

 

個人事業主の場合、住民税は原則年4回に分けて納付します。

前年の所得を基に計算した住民税を4分の1ずつ、6月・8月・10月・翌年1月に。

 

特例的な納付方法として、年4回ではなく6月に1年分の住民税全額を納付してしまうこともできます。

私は今回通知書が届いたその日に、ネットバンキングから一括納付してしまいました。

この一括納付、本来資金繰りの面からはあまり好ましくありません。

資金繰り改善のためには「遅らせることができる支払は、できるだけ遅らせる」のが鉄則。

実際お客さんから資金繰りの相談を受けたときは、締日から支払日までの期間はなるべく長くとるよう交渉すべき、とアドバイスしています。

にも関わらず、自分自身はなぜ資金繰りが悪化する一括納付しているのか。

それは資金繰りが悪化するというデメリット以上に

・納付忘れの心配がなくなる

・納付手続きを年4回から年1回に減らせて効率的

・資金を多く持っておこうとする意識が高まる

といったメリットがあるからです。

 

納付忘れがなくなる

6月中旬に納付書が送付されてきて、6月30日までに支払う。

期間が短いので、この1回目の納付はなかなか忘れません。

しかし、8月や10月、翌年1月の支払はメモしたりスケジュールに書き込んでおこないと忘れてしまいます。

それぞれの月に納付の案内が届くわけでもありませんし。

一括納付してしまえば納付忘れのリスクがなくなり、メモもスケジュール管理も不要になります。

「税理士が税金を納めず滞納している」

という状況はけっこうシャレになりません^^

なので、納付忘れがなくなるというのは自分にとって大きなメリットです。

 

ちなみに、納付忘れを完全に防ぐなら口座振替手続きをしてしまうのが最も効率的です。

ただ口座振替を設定してしまうと、QRコード決済をしようとしたり、今後長野市がクレジットカード決済に対応したときにいちいち口座振替の取りやめの手続きが必要になるのがイヤなので口座振替はしていません。

 

納付手続きを年4回から年1回に減らせて効率的

ネットバンキングのおかげでわざわざ銀行まで納付に行く必要がなくなった、とはいえネットバンキングからの納付手続きだって手間がかからないわけじゃありません。

ペイジーを使った納付の場合、4種類の番号を手打ちする必要があるので結構めんどうだったりします。

納付に必要な情報はeLTAXを経由して電子データで受け取り、ワンクリックで納付できるような仕組みがあってもいいと思うんですけど、現状では紙の通知書や納付書しか届かないので手打ちするしかありません。

そんな手続きを年4回もやりたいか。

やりたくありません。

年1回で済ませられるなら、それに越したことはありません。

 

資金を多く持っておこうとする意識が高まる

1年の間に税金や社会保険料はいつ、いくら納付する必要があるのか。

これらをあらかじめ把握しておいて、一括納付できるものは一括納付する予定で資金繰り計画を立てる。

分割納付を前提とした資金繰り計画より、この方が資金繰りはシビアになります。

一括納付する月があると、その月は資金ショートする可能性が高くなるからです。

その結果資金ショートさせないために、「資金を多く持っておこう」とする意識が高まります。

 

この「資金を多く持っておこう」という意識は個人事業主が安定的に経営を持続させるために欠かせません。

大企業なら「そんなに資金を遊ばせておくなら投資しろ!」と株主から叱られるかもしれませんが。

資金調達手段が大企業と比べて限られる個人事業主は状況がまったく違います。

経営環境が厳しくなったとき、銀行がお金を貸してくれなかったらどうするのか。

基本的には自己資金で乗り切るしかありません。

個人事業主のように事業規模の小さなところほど、資金の面では保守的になるべきです。

「住民税の通知か、資金には余裕があるし一括で払ってもいいかな~」

住民税の通知を見てこのように思えるのが理想。

そう思えるのなら、経営環境が多少厳しくなっても乗り越えられる資金を確保できているはずです。