ふるさと納税の節税効果は所得税の還付だけじゃない

寄附金受領証明書

 

豊富な返礼品をもらえることから活用する人が年々増えているふるさと納税。

上限額の範囲内で寄付をすれば都道府県や市町村に寄付をした金額から自己負担額2,000円を引いた金額分税金を減らすことができます。

寄附金と同じ額税金が減るだけではプラマイゼロですが、寄付金の額に応じた返礼品をもらうことができるため実質的に節税になるというわけです。

 

所得税は還付されても住民税は還付されるわけではない

ふるさと納税は原則所得税の確定申告が必要です。

自治体に寄付した金額から自己負担2,000円を引いた金額分だけ「寄付金控除」の適用を受けることができます。

その結果、所得税が「寄付金控除×所得税率」で計算した金額分還付されます。

例えば32,000円寄付をした方は自己負担2,000円を引いた30,000円を寄附金控除として所得から控除できます。

その結果所得税率が10%の場合3,000円(=30,000円×10%)所得税が税務署より還付されます(復興特別所得税は無視しています)。

 

住民税については寄附金32,000円の場合は寄附金と自己負担額の差額30,000円から還付される所得税3,000円を引いた27,000円軽減されます(実際の計算方法はもっと細かいのですが)。

軽減という書き方をした理由は住民税の場合税金が還付されるわけではないからです。

サラリーマンの住民税は前年の所得額を基準に今年の6月から翌年の5月の間毎月の給料から天引きされます。

令和4年の所得を基準に1年分の住民税額が決まり、令和5年の6月から令和6年の5月の1年間で12等分して納付する、という流れです。

ふるさと納税をしなかった場合の令和4年の所得を基に計算した1年分の住民税が180,000円と仮定すると、令和5年の6月から令和6年の5月の間毎月15,000円(=180,000円÷12ケ月)住民税が給料から天引きされます。

ふるさと納税をした場合住民税を27,000円軽減できるので、1年分の住民税が153,000円(=180,000円-27,000円)に、毎月の天引額が12,750円(=153,000円÷12ケ月)に減額できます。

「住民税は還付されないけど、天引きされる額を減らす」

ふるさと納税の節税効果を実感したいのであれば、この所得税と住民税の違いを押さえておきたいところです。

 

ワンストップ特例を使う場合所得税の還付はなし

サラリーマンは通常確定申告が不要なため、確定申告をするのは手間です。

そんな確定申告に普段縁がない人でもかんたんにふるさと納税ができるようワンストップ特例という制度が設けられています。

寄付する自治体が1年間に5つまでであれば各自治体へ申請書を提出することにより確定申告が不要となります。

 

このワンストップ特例を使う場合所得税の確定申告をしないため、所得税が還付されません。

代わりに寄附金額から自己負担額を引いた全額が住民税から軽減されます。

先ほど例に出した32,000円の寄付なら自己負担額2,000円を引いた30,000円、住民税を軽減できます。

なので、所得税が還付されないからといって損をするわけではありません。

 

「節税=還付」だけじゃない

サラリーマンが使える節税策として古いところでは医療費控除、最近ではiDeCo加入による社会保険料控除が有名です。

いずれも所得税が還付されるので所得税の還付額にだけ目がいきがちですが、今回紹介したふるさと納税と同様にこれらの所得控除を適用すると住民税額を減らすことができます。

人によっては還付された所得税額の2倍くらい住民税の軽減効果があることも。

真の節税効果を見極めるのであれば、所得税の還付額だけでなく住民税の軽減額まで目を向ける必要があります。