年金は「払い損」?実際何年で”元が取れる”のか
「年金なんて将来もらえないんだから払ってもムダ」
「もう自分で貯めるから年金を天引するのはやめて」
「年金はなくしていいからこれまでに払った年金返して!」
「若い世代は絶対払い損だ!」
「老後資金2000万円不足問題」が話題になってから年金への不安がクローズアップされています。
今後少子高齢化が進めば年金保険料を払う労働者は減少、逆に年金を受給する高齢者は増加していくことが容易に想像できます。
年金制度の行く末を不安に思うのは当然でしょう。
しかし現行の年金制度はそんなにダメな制度なのか。
払い損になってしまう制度なのでしょうか。
“元が取れる”年数の目安は「10年」!
私の場合「少なくとも自分が掛けた保険料分位は将来受け取りたい」
というのが正直な気持ちです。
月々の年金保険料の支払いがきつくてもその分がちゃんと将来の年金として受け取れればまぁいいか…と。
年金には遺族年金や障害年金など保険的意味合いもあるのであまり”元が取れる”という発想はすべきでないかもしれませんが…
掛けた保険料の”元が取れる”年数は何年かというと
厚生年金の場合個別の年収によって変わってくるのですが、
国民年金・厚生年金いずれもおおよそ
10年
が目安です!
国民年金の場合
まずは国民年金から。
基本ざっくりとした数値を使っています(一万円未満を四捨五入してます)。
厳密な数字を使って円単位の表示をすると見づらくなるしあくまでシミュレーションなのである程度大雑把でもいいかな、と。
金額や料率はすべて2019年6月時点のものをベースにしています。
<支払額:20~59歳、40年間>
①1年間あたりの支払額 20万円
②40年間の支払額 800万円(①1年間あたりの支払額:20万円×40年間)
<受取額:65歳以降>
③1年間あたりの受取額 78万円
④元が取れる年数 10年(②40年間の支払額:800万÷③1年間あたりの受取額:78万円)
④の計算式がちょっとわかりづらいかもですが、1年あたり78万円受け取れば10年後の受取額合計は780万円。
40年間に支払う800万円に近い金額なりますね。
11年受け取れば約860万円になり”元が取れた”ことになります。
厚生年金の場合
厚生年金の場合は個々の年収によって受給額が変わります。
年収によって元が取れる年数も変わってくるのですが長くなってしまうので今回その話は割愛します。
年収500万円(ボーナス込)で20歳~59歳の40年間勤務するサラリーマンの方を想定。
生涯賃金に換算すると2億円(500万円×40年)です。
<支払額:20~59歳、40年間>
①1年間あたりの支払額 46万円(≒年収500万円×保険料率9.15%)
②40年間の支払額 1,840万円(①1年間あたりの支払額:46万円×40年間)
<受取額:65歳以降>
③1年間あたりの受取額 188万円(老齢厚生年金:110万円(生涯賃金2億円×0.55%)+老齢基礎年金:78万円)
④元が取れる年数 10年(≒②40年間の支払額:1,840万÷③1年間あたりの受取額:188万円)
10年間受け取れば1,880万円。
この時点で40年間の支払額1,840万円を超えますね。
現行制度が維持できれば年金は「払い損」とは言えない
日本人の平均寿命は女性より短い男性でも80歳を超えています。
65歳から受給すれば80歳までで15年。
80歳まで生きることができれば少なくとも現行制度では元が取れます。
もちろん「現行制度が維持できれば」の前提条件つきですが…(-_-;)
よく年金は若い人ほど「払い損」になる、という意見を見聞きするのですがその根拠となる資料が見つけられません。
グラフを見つけたりはするんですがこれだけ支払ってきたけどこれしか受け取れない、という内訳がわからないので「払い損」という結論に至った根拠はわからずじまい。
自分の調査不足・勉強不足のせいだとは思うのですが、どなたかその根拠がわかる方がいらっしゃったら教えていただきたいです(^^;)
今後の経済のマイナス成長、少子高齢化など様々な要因による受給額の減少までシミュレーションしての「払い損」という結論なのかもしれませんが…
老後資金2000万円問題の報告書で書かれていたモデルケースは、年金を毎月20万円近く受け取ってそれでも月5万円不足という内容です。
つまり月の支出額は25万円。
30年間なら9,000万円です(月25万円×12ヶ月×30年=9,000万円)。
一方年金収入は少ないように見えても30年間なら7,000万円にもなります(月20万円×12ヶ月×30年=7,000万円)。
仮に年金制度を廃止して自分で貯めろ、となったときに9,000万円を自助努力で貯められるでしょうか?
2,000万円不足は年金収入が7,000万円あってそれでも足りない分だ、ということがもう少し強調されてもいいのではないでしょうか。
人生100年なんて言われるようになったこの時代、長寿自体は喜ばしいことですが長生きするほど資産が枯渇するリスクは高まります。
国民年金も厚生年金も生きている限り受け取れる「終身」年金。
終身年金は長生きした場合の資産枯渇リスクを軽減できます。
そういったいわば「長生きリスク」に備えるためにも公的年金は有効だと思います。
[今週の雑談]
コンビニでお弁当を買ったらえらく安かったのでレシートを見ると
「50円引き」の商品が
「50%割引」に…!
恥ずかしい話ですが、一瞬「間違ってますよ」と申告しようか迷った自分がいました…
が、ちゃんとレジで打ち直してもらい正しい金額で再精算しました。
迷いながらもちゃんと自己申告した自分をちょっとだけ誉めてあげました(^^;)