「1日あたりわずかペットボトル1本分のお値段だからお得!」という営業トークを鵜呑みにしてはいけない

ペットボトル飲料

 

大学1年生のときに夏休みだけの短期アルバイトをしたことがあります。

アルバイトの内容はテレアポ。

一般家庭に電話をして有料の衛星放送サービスへの加入を勧める営業電話をひたすらしまくるやつです。

今の自分がこの電話を受けたら「いりません!」と即ガチャ切りします。

営業電話は時間を一方的に奪われるので苦手なんです。

なぜ当時の自分がこのアルバイトをやろうとしたのかさっぱり思い出せないのですが、時給がよく肉体労働じゃないところに惹かれたのかもしれません。

当時メインでやっていたアルバイトは会議室併設のビジネスホテル。

会議室づくり業務としてイスや机の運搬が頻繁にあってかなりの肉体労働だったので、事務仕事にあこがれがあったんですね。たぶん。

 

「どこでうちの電話番号を知ったんだ!!」

まだ社会にでたことがないただの大学生。

営業なんてしたことあるはずがありません。

まして、自分では一度も利用したことのないサービス。

販売商品である有料衛星放送サービスの内容は事前に研修で学びますが、そんな付け焼き刃の知識でお客さんを納得させることなんてそうそうできません。

私もそうですが、突然かかってくる営業電話には多くの方が不快感をもちます。

ガチャ切りされるくらいなら全然ましで

「どこでうちの電話番号を知ったんだ!!」

とブチ切れてくる人が結構いたのはきつかったです。

「電話帳でお調べしました」

と回答するよう指導された記憶がありますが、実際はシステムが勝手に電話をかけまくっていて、どこのだれにかけてるかなんて私もわかってなかったんですけど^^

 

「1日あたりわずかペットボトル1本分のお値段だからお得ですよ!」

とはいえ、中には話を聞いてくださる方もいらっしゃいます。

でも突然の電話で毎月4~5千円もかかるサービスに気前よく

「よっしゃ、加入しよ!」

なんて言ってくれる方はそうそういません。

 

そこで教わった営業トークがこれ。

「1日あたりわずかペットボトル1本分のお値段だからお得ですよ!」

1ケ月4,500円として30日で割れば1日あたり150円。

1ケ月4,500円と聞いて尻込みする人でも、1日150円と聞くとあまりたいしたことない金額に感じるんでしょう。

この営業トークのおかげか、つたない勧誘しかできなかった自分でもなんとか最低限のノルマをこなすくらいには契約をとることができました。

 

自分の1日あたりの収入がペットボトル何本分か

当時の自分をノルマから救ってくれたこの営業トークですが、年を重ね税理士・FPになった自分がみるとなんとも違和感があります。

「1日あたりわずかペットボトル1本分のお値段」

まぁ、これはわかります。

まったくもってうそはついていません。

 

ただ、このお値段が本当にお得なのか。

それは収入に着目しなきゃわかりません。

そして、この有料放送サービスの利用料を1日あたりの値段で見るのなら、収入も1日あたりで見なきゃいけません。

月給の額面金額が22万円とすると手取りは約18万円。

30日で割れば1日6,000円。

150円のペットボトル換算で40本分。

実際は家賃・食費・ガソリン代・保険料・水道光熱費・通信費と様々な支出があります。

それらを差し引いたらペットボトルは何本残るでしょうか。

一人暮らしなら10本も残っていないかもしれません。

そのような状況から支出するペットボトル1本分のお値段はなかなかお得とは言い難いように思います。

 

生活費を見直すなら、1日でも1年でもなく1ヶ月

新たなサービスを契約したり古いサービスを解約するか検討する、いわゆる生活費の見直しをするときは「1ヶ月単位」がオススメです。

今回記事で紹介したように、生活費を1日単位で表そうとするとわかりやすいようでいてかえってわかりづらくなります。

1年単位の場合、年単位の生活費の推移がわかるので大きな傾向をつかむのには向いています。

ただ、各項目の支出額が大きいため単年度でみたとき、感覚的に使いすぎたのかどうかがわかりづらくなる気がします。

やはり生活費を見直すときは、家計簿の王道である1ヶ月単位がいいですね。

前月までの数値と比較して増減の傾向をつかむのもよし、単純に各項目の数値を見て直感的に無駄遣いをしていないか検討するのにも1ケ月単位がベストです。

 

1日あたりで割れば金額が小さくなるのは当たり前。

その小さな金額が本当にお得かどうかは、個々人の収入、いや収入から生活費を引いた1日あたりの利益と比較しなくちゃわかりません。

「1日あたりわずかペットボトル1本分のお値段だからお得」理論は今もそこかしこで見る機会があります。

言われるがままにお得だと判断するのではなく、収入と比較して本当にお得といえるかどうかを自分自身で判断できるようになりたいものですね。