【税理士試験】理論の暗記時間を無視したパンフレットの「学習時間の目安」は何の目安にもならない【本当の学習時間】

 

先日、国家資格取得にかかる時間について解説しているYouTube動画を見ました。

弁護士なら〇千時間、会計士なら〇千時間、司法書士なら…と並べて、難易度の差を表している感じの内容でした。

景気がいいときは手間と時間がかかる難関資格取得を目指す人は減る傾向にありますが、不景気のときは逆に増える傾向になります。

こういった資格に関する解説動画は今後増えてくるのかもしれません。

 

その動画の中で税理士の学習時間は2,500時間と解説されていました。

たしかに、大手専門学校のパンフレットに載っている「学習時間の目安」を合格に必要な5科目分合計するとそのくらいになります。

しかし税理士試験を受験したことのある人ならみんな知っているでしょう。

そんな時間で合格できるわけがないということを。

 

「凡人」が2,500時間で合格は不可能

もちろん世の中には「天才」がいます。

今回の記事を書くにあたり、最新の専門学校のパンフレットをダウンロードして見てみました。

合格体験記の一番最初に載っていた方は

「大学在学中に1.5年で5科目合格!」

… … すごすぎです(^^;)

彼の学習時間は確かに2,500時間かからないくらいだったかもしれません。

他に載っている方も3年や4年といった短期間で合格している方ばかり。

 

これを見て

「私も3年で税理士に…!」

などと考えてはいけません。

「凡人」はこんなトントン拍子にいきません。

2,500時間で5科目合格は不可能。

「凡人」の私は断言できます。

 

5科目合格まで8年かかった自分の学習時間はざっくりとではありますが9,000時間。

これ、別に自分が極端に成績が悪かったからこんなに時間が必要だったというわけではなく。

自分の周りを見渡しても、割と標準的な学習時間だったんじゃないかなーと感じています。

資格取得を計画するなら自分は「天才」だと過信せずに「凡人」であることを前提にした方が、大けがしなくていいと思います。

無職専念で3年で5科目合格!と計画を経てても、実際は3年で合格科目ゼロ…

とか普通にありえますしね。

 

「学習時間の目安」に理論の暗記時間を含めない不思議

前々から専門学校のパンフレットに載っている「学習時間の目安」なるものには疑問をもっていました。

パンフレットには

「学習時間の目安は講義時間を含みます。理論の暗記は個人差があるため含まれておりません。」

と書いてあるんです。

なぜ、理論暗記の時間を含めないのか。

 

理論暗記の時間に個人差があるのは理解できます。

暗記が得意な人、不得意な人で大きく差がでるのは当然でしょう。

でもそれは計算問題を解くのに必要な知識を身につける時間についても同じなのでは?

税理士試験の科目の多くは計算問題と理論問題で構成されていて、その比率は50:50であることが多いです。

比率が計算90:理論10とかで理論の占める割合がごくわずかなら、理論暗記の時間を含めないのも理解できるのですが。

大手の専門学校には多くの受験生が通います。

その受験生から理論暗記にどのくらい時間がかかったか、アンケートを毎年とっておけば理論暗記にかかる標準的な時間って計算できるんじゃないでしょうか?

 

私が法人税法を受験した当時、暗記すべき題目は約90題。

1題の暗記に4時間かかったとして90題なら360時間。

一度暗記したってすぐに忘れていきます。

一度暗記すれば、再暗記・再々暗記に必要な時間は大幅に減りますが、それでも本試験までに何度も繰り返さないといけないことを考えれば完全に脳に定着させるまでに最初の暗記に要した時間と同じくらいの時間は必要だと思います。

そう仮定すると必要な時間は360時間の倍で720時間。

パンフレットに載っている法人税法の「学習時間の目安」は600時間。

うん、やっぱり「学習時間の目安」の倍は必要な計算になりますね。

 

まぁ「学習時間の目安」に理論暗記の時間を含めない理由、薄々わかってはいるんですけどね。

含めたら莫大な学習時間になってしまい、税理士試験にチャレンジしようか迷っている人のやる気をそいでしまうからでしょう。

理論暗記の時間まで含めた学習時間をパンフレットに載せたせいで

税理士試験の受験者減少→専門学校への入学者減少→専門学校の経営悪化

という流れを加速させたら専門学校が困ってしまいますからね。

 

 

本気で目指す資格を決めるときは経験者の意見を確認した方がいい

ネット環境が一般的になる以前は身近に難関試験の受験経験者がいなければ、資格試験の情報は受験専門誌か専門学校のパンフレットからしか手に入らなかったでしょう。

しかし、現代は違います。

その気になればネットでいくらでも情報が手に入ります。

 

もし難関試験に挑もうか本気で考えている方は、専門学校のパンフレットだけでなくネットでじっくりと時間をかけて情報を集めるべきです。

このとき通り一遍の情報だけ載せたサイトで調べるのではなく、税理士試験なら税理士、司法試験なら弁護士さん、司法書士試験なら司法書士さんのブログを見るのがオススメです。

いろんな資格の情報を載せたサイトは難易度や特徴を比較したい場合に便利ですが、そのサイトの作成者が実際に紹介している資格試験を経験してきているとは限りません(資格マニアを自負している方なんかはすべて経験してきているかもしれませんが、例外的でしょう)。

表面的な資格試験の情報を寄せ集めただけのサイトと、実際に試験を突破してきた方が語る資格試験の情報。

どちらが自分にとって役立つ情報かは間違いなく後者。

経験者が語る難関試験のリアルなきつさを知ったうえでなお受験することを決意できれば、きっと途中で挫折することなく本試験まで勉強をやり遂げられるはずです。