会計ソフトの検索機能を使いこなせれば元帳にインデックスはいらない

 

今日の記事は、会計事務所職員や企業の経理担当者向け。

一般の方にはちょっとピンとこないであろう業界ネタです。

 

会計事務所向けに、専用の事務用品を販売している会社があります。

定期的にカタログや商品案内が送付されてくるので、気が向いたときに見たりするのですが。

先日見つけたページの内容に思わず苦笑してしまいました。

元帳に貼るインデックスの科目名を、顧問先が使用する勘定科目順にこの販売会社側で印字して会計事務所に納品してくれる「革命」的なサービスだそうです。

このインデックスを自計化(会計ソフトを導入して自社で経理をすること)している顧問先に差し上げると喜ばれるそうで…

 

仮に私が税理士資格を持たない一企業の経理担当者だとして、顧問先の会計事務所担当者がこれを持ってきたら喜ぶか?

いやー、申し訳ないですがどう考えても喜べません。

というか聞きますよ。

「なんで一瞬で取引データを検索できる会計ソフトがPCに入っているのに、わざわざ紙の元帳にインデックスを貼らなきゃいけないんですか?」

と。

 

インデックス貼りはPCが普及する前には必要だった業務

百歩譲って会計ソフトを導入しておらず、会計事務所に記帳代行を頼んでいる会社ならインデックスを貼る意味がないとはいいません。

過去の取引を確認するとき、インデックスがある方が見つけやすいですからね。

 

しかし自計化している会社なら話は別。

会社のPCで元帳はいくらでも見ることができます。

確認したい過去の取引がでてきたらその取引先や取引内容の一部の文字だけでもわかれば、勘定科目がわからなくたって一瞬で検索できます。

税理士業界で働いて早15年

「会計ソフトで探すより紙の元帳で確認した方が早かった!」

なんてことは一度もありませんでした。

きっとこれからもないでしょう。

 

この元帳にインデックスを貼る作業は、PCが高価で中小企業にかんたんに導入することが難しかった時代には必要だったのでしょう。

しかし中小企業であっても一人一台PCがあって当たり前になった昨今、紙の元帳にどれだけの意味があるのか?

私の中で紙の元帳を保存しておく目的は

「税務調査時に税務署職員に提示する」。

これだけです。

 

税務調査時にはインデックスが貼られた元帳が必要なのか

現行の税法では事前に届出をしない限り元帳は紙で保存する義務があります。

保存していなければ税法上の恩恵を受けられなくなります。

税法上の恩恵を受け続けるためにもこの義務はきっちり守るべきです。

ただ、「元帳にはインデックスを貼り付けなければならない」なんて条文はありません。

税務職員に提示する元帳にインデックスは必要ないんです。

 

実際これまでの税務調査で、元帳にインデックスが貼ってないことを咎められたなんてことはありません。

というより自分が税務調査をする立場だったら、インデックスない方が見やすくてありがたいかも。

インデックスがびっちり貼り付いてると元帳がめくりにくいんですよね。

勘定科目がどんな順番で並んでいるかは、経験上おおよそ予測できますし。

気になった取引や勘定科目のページには、ふせんを付けておけば事足りますし。

 

やっぱ、いらなくないですか?インデックス。

 

検索機能の手順(弥生会計)

会計ソフトを導入していても検索機能を使っていない会社もあるのかもしれません。

メインで使っている弥生会計の検索機能の使い方を紹介します。

 

一番よく使うのは「仕訳日記帳」からの検索。

メニュー「帳簿・伝票」→「仕訳日記帳」(Alt→C→J)で仕訳日記帳を表示します。

期中の全取引の中から確認したければ「全期間」をクリックした後に「検索」をクリック(Alt→Y→F3)。

 

検索条件を指定するダイアログボックスが表示されるので入力します。

私は「摘要」だけ入力して検索するケースが多いですが、「勘定科目」も合わせて指定すればたくさん取引がある場合に絞り込むことができます。

例えば「綿半で購入した消耗品費の内容を確認したい!」というケースはこんな感じで入力します。

 

「OK」をクリックすれば検索結果が表示されます。

 

綿半でいつ、何を買ったかが一目瞭然です。

ついでに検索期間の取引データの合計額も一番下に表示されます。

 

もう一つの方法は紙の元帳を見るのと同じ手順。

最初に特定の科目の元帳画面を表示して、その中で特定の取引を拾いだす方法です。

私はあまり使わない方法ですが、こっちの方法がしっくりくる方もいるかもしれないので紹介します。

まずメニュー「帳簿・伝票」→「総勘定元帳」→「勘定科目」で科目を選択

から特定の科目を表示。

先ほどと同様「全期間」を指定して「検索」してみます。

 

ダイアログボックスが表示されるので摘要欄を入力してOKをクリック。

 

これで「消耗品費」の中の摘要に「綿半」が含まれている取引を検索できました。

 

まとめ

1. 自計化していれば紙の元帳は不要(ただし税務上の優遇を受けるために印刷はしておく)

2. 元帳を印刷してもインデックスを貼る必要はない

3. 過去の取引を確認したければ会計ソフトの検索機能を使おう

 

税理士側からするとインデックスを作成する・貼り付けるって膨大な時間がかかる割に、あまりにメリットが少ないです。

かと言って、時間を費やした分だけお客さんが喜んでくれるかというとそんなこともなく。

だったら税理士は勇気をもって

・インデックスを貼るのは互いにメリットが少ないので止めたい

・その時間をもっと有意義な資料を提供したり説明をすることに使いたい

と提案してみてはいかがでしょうか。

インデックスは別にいらないけど、税務署対策として必要なんだろうな~と思われているお客さんもいます。

意外とあっさり了承してくれることも多いですよ♪