預金通帳を会計ソフトへ入力するときにありがちな困りごと

 

現金取引と違って預金取引は通帳にすべての記録が残る。

だから後からまとめて会計ソフトへ入力しても問題ないでしょ。

 

こんな認識の個人事業主や中小企業の社長は珍しくありません。

しかし元会計事務所の記帳代行担当者から言わせてもらうと決してそうとは言いきれません。

今日紹介するのは預金通帳を入力するときにありがちな困りごとです。

 

きりのよくない数字の現金引出・現金預入

きりのよくない、という表現が正しいのかはわかりませんが

107,356円

218,362円

といった各桁バラバラの数字のことです。

こういった金額が現金で引き出されていたり現金で預け入れられたりしていると困ります。

 

通常現金を引き出したり、預け入れたりするときはきりのいい数字にすることが多いものです。

5万円とか10万円とか。

となると

・通帳には現金引出と印字されているけど実際は銀行の窓口から取引先に振り込んだ

・取引先から売上代金を回収してきて、現金で持っているのも物騒なので全額預け入れた

といったことが実際には起きていた可能性が高いといえます。

 

振込用紙の控えとか、売上代金を回収したときに発行した領収書の控えがあれば実際にどんな取引があったのかを把握するのもかんたんなのですがそれらもない、社長本人も時間が経っていて覚えていない…

となると本当に困ってしまいます。

銀行に問合せをすれば社長本人には教えてくれるでしょうが、それなりに時間がかかるしめんどくさいですね。

 

対策としては支払にしろ入金にしろ摘要欄に取引先が表示されるような方法を普段から選ぶのがベストですが、そうもいかないよう場合はマメに記帳して摘要欄が空白だったら相手が誰なのかメモしておくのが有効でしょう。

 

合計記帳

記帳するのをしばらくほったらかしていたらその間の取引が全部合算で記帳されてしまった。

いわゆる「合計記帳」はかなり困ります。

 

この状態では入力する側としてはなんともしようがありません。

金融機関から合計記帳の間の取引明細を取り寄せることになりますが、これがけっこう時間がかかります。

確定申告期限間近でこうなってしまったら…おそろしいですね。

 

対策としてはこまめな記帳!これに尽きます。

そもそも合計記帳されてしまうくらい長い間預金取引を把握していないっていうのは経営者としてまずいです。

ネットバンキングの契約をしていてPCやスマホから取引自体は把握できているというのであればまだいいですが。

 

カード払いの明細がわからない

クレジットカード代金が引き落とされるときは1ヶ月間利用した分の合計額が1行で表示されるだけです。

1か月間クレジットカードでどれだけたくさんの決済をしていても。

これではクレジットカードの利用明細書がない限り入力しようがありません。

ここ数年で利用明細書を送付しないか送付しても有料とするカード会社が増えました。

ネットで確認できれば十分、と紙の明細書を持っていない方も多いかもしれませんが事業をしていて経費の支払にカードを使っている方は紙の明細書も印刷して残すようにしましょう。

 

総合振込の明細がわからない

振込先がたくさんある場合にあらかじめ登録した登録先ごとに振込額を設定すれば、一括で振込ができる総合振込サービスが金融機関にはあります。

このサービスは便利ですが通帳には合計振込額しか表示されず、当然摘要欄を見ても振込相手はわかりません。

これもクレジットカードと同様どの取引先にいくら振り込んだかがわからないと入力しようがありません。

紙の明細を残すようにしましょう。

 

摘要欄に書いてある会社名を見ても取引内容がわからない

ふつうは摘要欄に書いてある取引先を見れば支払った内容はわかるものですが、たまに社長に聞いても経理担当者に聞いてもわからない…

といったケースがあります。

理由は載っている会社名が取引先ではなく収納代行会社だったりするから。

ただこの場合は特定の取引先単独の金額だったら請求書から把握できることが多いので他のケースと比べればまだなんとかなりますね。

 

繰越済みの通帳が行方不明

なかなかレアですが、繰越済みの通帳が行方不明というケースも…

こうなっては金融機関ですべての取引明細を発行してもらうしかありません。

どこかに落としてしまい通帳の中身が赤の他人に見られていたなんてことになれば会社の信用問題にもなりかねません。

繰越済みの通帳は必ず1箇所にまとめて保管するようにしましょう。

 

ネットバンキングの取引データが取得できない

ネットバンキングがだいぶ普及してきた昨今だからこそ起こる困りごとが「照会期間を過ぎてしまい取引データが取得できない」です。

長野県の金融機関だとだいたい2~3ヶ月、一番長くて100日までしか取引データを照会できません。

会計ソフトと自動連携させて定期的にソフトが自動で取引データを取得しにいく、といった仕組みが構築できていればあまり気にする必要はありません。

ただ自動連携の方法がよくわからなくて毎回手動でデータを取得している場合はまめにやっていないと一部の期間のデータを取得できず、その間のデータは手入力せざるをえない…

といったことが起こりがちです。

対策としてはまめにデータを取りにいく、これしかありません。

数ヶ月分まとめてデータを取り込んだ方が楽だから…なんてほったらかしておくと逆に苦労することになりかねません。

個人的には1ヶ月に1度、月初から月末まで定期的に取り込むことをおすすめしています。

 

理想の入力は月ごと ためればためるほど大変になる

困りごとの多くは会計データの入力をまめに行わず、まとめてやろうとするから起こります。

会計データの入力は一度にまとめてやろうとすればするほど大変になる。

これは長年の経験からも言えます、間違いありません。

理想は1ヶ月ごとの入力です。

「忙しくて時間がとれない…」

という方はあらかじめ作業をする日時を決めてしまうのがおすすめです。

自分の場合は毎月1日が会計データの入力・取込日です。

時間はできれば早朝、間に合わなければ当日中に、くらいのゆるさですが。

あらかじめ「この日にやる!」と予定立ててしまえば忙しくてもけっこうなんとかなるものですよ。

リマインダー機能を使って「毎月1日は入力の日」と思いだせるようにしておくのもいいですね!