絶望から学んだ取捨選択の重要性。10年前の簿記論第一問は全体が捨て問だった
※第59回簿記論の問題用紙表紙。
12月13日(金)は税理士試験の合格発表日でした。
官報合格、科目合格された方々おめでとうございます!!
税理士試験を終えて6年経った今、いつ、どんな問題を受けたかというのはほとんど忘れてしまいました。
しかし一つだけ強烈に覚えている回があります。
それは今からちょうど10年前、第59回の簿記論第一問。
常に複数科目受験してきた私が最終受験年を除いて唯一1科目受験した年でした。
一番きつかった簿記論第59回
今回の記事を書くにあたりひさびさに問題用紙を引っ張り出してその問題を見てみると全体で4ページ。
量的にはそれほど多く感じるものではありません。
問1と問2に分かれていたのですが、問1は当時話題性の高かったリース会計ががっつり出題されたので
「これは取りにいかねば!」
と多くの受験生が思ったでしょう。
そして多くの受験生が嘆いたでしょう。
「全然わかんねー!!」
と。
普通は一通り資料を読めば、「この辺は解けそう」とある程度アタリをつけられるものです。
しかしこの問題は資料を読み込んでもまったくどこから手をつけていいかわからず。
何とか糸口をつかもうといろんな値を集計しても答えにまったくたどり着けず。
「あ、だめだ。今年終わった…」
と戦意喪失した人も多数いたはず。
私もその波に飲み込まれてしまいました。
時間をかけても解答欄はまったく埋まらず、心の中はぐっちゃんぐっちゃん…
本当に泣きたくなりました。
過去の簿記論受験でも3問構成のうち必ず1問大ポカをやらかして不合格になっていたので「また今年もそのパターンか…」と思ってしまったのです。
「ボーダーラインは4点、合格確実ラインは6点」
本試験が終わって数日後、大原から解答速報がだされたので
「完全に落ちてるだろうなー」
と思いつつ、見てみると。
合格ボーダーライン、確実ラインともにめちゃくちゃ低い!
ボーダーラインが37点、確実ラインが47点。
一応合格基準60点とされている試験ですよ…?
第一問にいたってはボーダーライン4点、合格確実ライン6点て…!
「これは自分にも合格の可能性があるのでは…?」
と慌てて自己採点してみると
…39点。
第一問がほぼできていないのが悔やまれました。
第一問2点て。1箇所しか正解できてません。
第二問・第三問はたいした点数ではないものの、ボーダーラインと合格確実ラインの中間といった感じ。
結果この年はA判定で不合格だったのですが(合格率9.9%はちょっと低すぎやしませんかね…)。
あのときもっとうまく第一問を立ち回ってもう2箇所とれていれば結果は違ったかも…と今でも思ってしまいます。
難問・奇問のときほど重要になる「取捨選択」
専門学校に通う受験生なら耳タコであろう
「取捨選択」。
税理士試験は相対評価だから、誰も正答できない難問などそもそも配点が割り振られているかどうかも怪しい。
難問・奇問は捨てて皆ができてくるであろう問題をもらさず拾えることが合格への近道、と教えられているはずです。
この「取捨選択」、問題の中に難問・奇問があるときほど重要。
どれだけ時間を注いでも解けやしないレベルの難問・奇問にあまり時間をかけずに撤退すれば、それ以外の問題に時間を使って点数を伸ばせます。
どれだけ実力がある人でもこの「取捨選択」を誤れば点数は伸びません。
今振り返ればこの第59回で取捨選択の重要性を痛感できたからその後の連続科目合格につなげることができたのかもしれません。
今回の試験で不合格だった方は、難問・奇問に時間をかけすぎていませんか。
逆に皆が正解できているところを取りこぼしていませんか。
来年初めから専門学校の講座を再受講するのであれば答練や模擬試験で取捨選択能力を鍛えることを強くオススメします。
取捨選択能力は一朝一夕には鍛えられません。
しかし来年初めから夏の本試験まで何十回と挑む答練や模擬試験で取捨選択能力を鍛え続ければきっと本試験レベルで通用する力が身につくはずです。
もちろん理論や計算の知識を身につけるのが先なのは言うまでもありませんが。
それらの知識はボーダーラインに並ぶための最低条件にすぎません。
そこに取捨選択能力が加わってはじめて合格ラインが見えてきます。