個人型確定拠出年金(iDeCo)の「個人型」、「確定」、「拠出」ってどういう意味?
個人型確定拠出年金、通称iDeCo。
公的年金だけでは賄いきれないであろう老後資金を自分自身で用意することを支援する制度です。
いわゆる「老後資金2,000万円不足問題」が2019年に話題になった影響もあるのか加入者数は年々右肩上がり。
2019年3月時点では約121万人だった加入者数は2021年7月時点で約210万人にまで増えています。
iDeCoには
・積み立てたお金は60歳以降でないと原則受け取れない
・選んだ運用商品によっては損失が発生する可能性がある
・手数料が発生する
といったデメリットはあるものの、
・掛金全額が所得控除の対象
・運用益全額が非課税
・受取時にも大きな所得控除がある
と、特に節税面において大きなメリットがあるため、税理士・FPどちらの観点から見ても大変オススメできる制度です。
「個人型確定拠出」って?
iDeCoの詳細は様々なサイトで紹介されており、公式サイトでもわかりやすく情報が発信されています。
iDeCoの詳細説明は公式サイトに任せるとして。
そもそも「年金」という言葉の前についている「個人型確定拠出」ってどういう意味?
って疑問に思ったことはないでしょうか。
今回の記事ではこの疑問について解説します。
「個人型」は元々あった「企業型」と区分するため
まず「個人型」から。
iDeCoの正式名称は
individual-type Defined Contribution pension plan。
indivual-typeを訳すと「個人型」となります。
「個人型」とわざわざ強調しているのはそれ以外の「型」があるから。
それが「企業型」です。
iDeCoに対して「企業型DC」(企業型確定拠出年金)と呼ばれます。
企業型DCは名前のとおり企業主導で導入する確定拠出年金です。
制度自体は2001年から始まっています。
当時は「日本版401k」なんて呼ばれたりしていましたね。
iDeCoは企業型DCと違い個人の自由意思で加入するか否かを選べる制度、ということを強調するためにアタマに「個人型」とつけたのでしょう。
「確定」は「拠出額を確定させる」という意味
「確定拠出」は「拠出額を確定させる」という意味です。
iDeCoのDeがDefined、「確定」ですね。
CoがContribution、「拠出」です。
「拠出」は毎月の「掛金」と読み替えた方がわかりやすいかもしれません。
毎月の掛金は自分から変えようとしない限りずっと同じで勝手に変わったりはしませんよー、ということですね。
毎月の掛金が変わらない、というのは当たり前に思われるかもしれませんが実はそうではありません。
「企業型DC」や「iDeCo」といった制度とは別に「確定給付年金」(2002年4月創設)という制度があります。
この制度の特徴は将来の年金「給付」額が「確定」、つまり将来受け取る年金額が保障されている点。
将来受け取る年金額が保障される代わりに現時点の掛金は変動するということでもあります。
なので年金受給者の増加により年金受給額が増えてしまうと、現役世代が負担する掛金も増やさなければ収支のバランスがとれなくなります。
掛金の運用実績が悪化したりしても同様です。
少子高齢化が進行する日本でこの「確定給付年金」制度を維持することは容易ではありません。
現在確定給付年金制度を採用している企業も、新たにこの制度を採用したところよりも、既にあった適格退職年金制度や厚生年金基金からの移行であることが多いようです。
今後も企業年金を導入しようとする企業が「確定給付年金」制度を導入することは少ないでしょう。
バブル期の頃のように集まった掛金を運用して資産がどんどん増えていくのが当たり前の時代ならいざ知らず、そもそも将来の年金受給額を企業側が保障すること自体無理がありすぎます。
さいごに
以前より世間に浸透してきたこともあり様々なサイトで解説されているiDeCoですが、正式名称の「個人型確定拠出年金」がどういう意味なのかについて触れているサイトはあまりないな、と思い今回解説してみました。
個人的に、用語を覚えたりするときは、正式名称やその言葉ひとつひとつが持つ意味まで覚えようとした方が定着しやすいと思っています。
少数派だという自覚はあります^^;
iDeCoなら正式名称は
individual-type Defined Contribution pension plan
individual-type→個人型
Defined→確定
Contribution→拠出
pension plan→年金制度
英単語とその意味も覚えられて一石二鳥?みたいな。
それぞれの単語が何を意味するのかまで理解できると、忘れることはまずなくなります。
ちょっとマニアックな記事になってしまいましたが、私のように用語の詳細を知ることで暗記の精度を高めようとするタイプの方の参考になればうれしいです!