確定申告を効率よく進めるために、今回用意した資料は漏れなく保管しておこう
先日税務署主催の確定申告相談会場で、税務相談の仕事に従事してきました。
初めてお会いする方から受ける税務相談という仕事は普段と勝手が違います。
詳細を把握している顧問先とは異なり、相談者の基本情報がまったくないからです。
今回は一日で15件ほどの相談を受けました。
限られた情報の中から瞬時に適切な回答をだすのはなかなか大変です。
税務相談が終わったあと、普段事務所で仕事を終えるときにはない疲労感がありました。
なんか、普段使っていない筋肉を酷使したときにおきる筋肉痛のような。
資料が足りない!
初対面の方の税務相談を受けるときに何より困るのが、最低限必要な情報が不足していること。
今回の相談会場でも、ほぼ手ぶらで相談にみえた方がいました。
収入をメモした手帳しか持っていない、と…。
かなり困りました。
まず、一口に収入といっても、給与所得なのか、事業所得なのか、雑所得なのか、所得の種類がわかりません。
収入が事業所得や雑所得なら収入を得るためにかかった経費を合わせて申告しないと、税金がめちゃくちゃ高くなってしまいます。
所得から差し引ける控除も対象になる支払をしているのかどうか、資料がないとこちらもさっぱりわからず。
税務署職員や税理士に任せればなんとかしてくれるだろうと考えて相談にみえたのかもしれませんが、最低限必要な資料がない限りなんともならないんです…
資料は足りないより、余分にある方がいい
資料の保管という点において、人は大きく2パターンに分かれます。
・官公庁等から送られてくる資料は何でも保管しておく(必要な資料は揃っているが、余分な資料もたくさんある)
・官公庁等から送られてくる資料の一部を必要ないと思ったらバンバン捨ててしまう(そのため必要な資料が揃っていないことが多い)
どちらが望ましいかといえば、言うまでもなく前者です。
税理士や税理士事務所職員の場合どれだけ余分な資料があってもその中から必要な資料を見つけ出すことには慣れているので、さほど苦になりません。
しかし、絶対に必要な資料が保管されていなければ再発行を依頼するしか手立てがありません。
追加資料が届くまで、確定申告作業は一旦ストップ。
申告期限が近づいてくるのに一向に資料が届いたという連絡がこず、作業を進められない…
税理士事務所あるあるのひとつです。
最強の資料は前回の確定申告書
初対面の方でもスムーズに税務相談にのれるケースがあります。
それは、前回の確定申告書(収支内訳書や青色申告決決算書を含む)の控を持ってきているケースです。
確定申告書には申告をするための重要な情報がミッチリ詰まっています。
その方にどんな収入があるのか、どんな経費があるのか、健康保険料などのどんな所得控除の対象になる支払があるのか、などなど。
前回の確定申告書に載っている収入や経費、控除対象の支払は今回の確定申告書にも載せる可能性が高いと推測できます。
これなら必要な資料のうち何が不足しているのかということも、ピンポイントで指摘できるようになります。
毎年確定申告をする必要がある方は、ぜひ控を一式保管しておきましょう。
今回用意した資料はすべて1ヶ所にまとめておこう
もう一つ税理士事務所あるあるを紹介します。
それは、初めて担当する顧問先の決算を組むときに先輩から言われる一言。
「前の見て同じようにやりな。」
会計や税務にはある程度統一されたルールがありますが、それでも細部の処理方法は顧問先によって千差万別。
結局初めて確定申告書を作ろうとするときは、基本的に前年と同じ処理をするのが一番無難なわけです。
もちろん、前任者が明らかに間違った処理をしていればそこは訂正すべきですが。
確定申告を効率よく進めるために前回使った資料は欠かせません。
次回の確定申告を効率よくこなすために、今回用意した資料は1ヶ所にまとめて大切に保管しておきましょう。