「給与所得控除」って何? この用語の意味がわかると扶養に入れるかどうかの本当の基準が見えてくる!

源泉徴収票「給与所得控除」

 

税法の専門用語は漢字が多いですが、漢字6文字で表すこの用語は一般の方にはその中でもかなりとっつきづらい方だと思います。

言葉だけ見ても何を意味するのかわかりづらいですし。

 

給与所得控除=概算経費

お客さんに説明するときにはなるべくわかりやすい言葉を選ぶように心がけていますが、この給与所得控除はいつも説明が難しいな、と感じています。

今のところ

「概算の経費的なものです。」

という説明の仕方で落ち着いているのですが。

いろいろ差し引かれる前のお給料の額面が一番左のA。

このAからBの「給与所得控除」を引いた金額のCを「給与所得」と呼び、このCが税金の対象になります。

「所得」という言葉も税務の世界ではメジャーな用語ですが、なかなか意味がイメージしにくいと思います。

一番シンプルな言葉で置き換えれば「利益」かと。

「収入」から「経費」を引いた後の金額なので「利益」、という考え方ですね。

最初の図の用語だけ置き換えてみました。

Aの収入からBの経費を引いたCの所得(利益)が税金の対象。

実は個人に課税される所得税はその稼ぎ方によって10種類の所得に分かれますが、そのほとんどの「所得」は大雑把に言えばこの「収入」から「経費」を引いて求めるルールになっています。

 

サラリーマンの場合はこの経費の部分を把握するのは大変だろう、との趣旨で「給料がこの位なら経費はこの位かかるだろう」という「概算経費」が認められています。

この「概算経費」がサラリーマンに認められているという事実をほとんどのサラリーマンは覚える機会がない…(学校でも就職した会社でも教えてくれないので当たり前といえば当たり前ですが)

なので「給与所得控除」の意味を説明するのが難しいのは無理もないのかな、と今はある程度割り切っています。

 

扶養に入れるかどうかは「年収」ではなく「所得(利益)」で決まる

この「給与所得控除」を引いた後の金額は扶養に入れるかどうかの判定に使われています。

判定に使われる金額のことを「合計所得金額」と言います。

またまた漢字6文字の長ったらしい用語ですが、意味は簡単に言えば「いろんな所得の合計額」なので「給与所得控除」よりはわかりやすいかと(正確な意味を書こうとするとものすごく長くなってしまうので割愛)。

配偶者については直近の税制改正でかなりややこしくなってしまったので今回は省略し、子や親を扶養に入れる場合で考えてみます。

 

一般的には「年収103万円」が扶養に入れる上限と言われます。

これは収入が「給料のみ」であることを前提にした場合にのみ正しいです。

 

給与所得控除の説明

扶養に入れる「合計所得金額」の上限は38万円。

給料の額面が103万円の場合は「給与所得控除」は65万円。

額面から給与所得控除を差し引くと103万円ー65万円=38万円。

なので給料以外収入がない方は年収が103万までなら、「合計所得金額」は38万円となり問題なく扶養に入れます。

 

副業がある方にとって「年収○○○万円の壁」は関係ない!

問題は副業がある方。

副業と聞くと会社以外でのアルバイト的なイメージが強いかもしれませんがそれだけではありません。

家賃収入、農業収入、株の売却益や配当金、FXや仮想通貨取引による利益、土地建物の売却、満期保険金の受取…

とにかく手許にお金が入ってくれば(仮想通貨なら手許のお金が増えていなくても…)、それは「合計所得金額」に含まれる可能性があります。

「お給料はギリギリ103万円で抑えたからバッチリ!!」

と思っていたら実は副業による利益がわずかに発生していて扶養に入れなかった…

そんな事態にはならないよう、十分注意したいものですね。

 

近年「すごい時代になったな~」と感じたのは

就職前の子どもが扶養に入れなくなったというケース。

私が学生の頃は、学生の立場で扶養を外れるなんていうのは「学業をおろそかにしてアルバイトをめちゃめちゃ頑張った人」位しか考えられませんでした。

それが今は親が想像もできないような大金を子どもが稼ぐ可能性が。

そのケースとは…

子どもがスマホアプリやLINEスタンプをネットにアップしたら大人気になった!というケース。

私には想像がつかない世界ですが、ネット上にアップしたアプリやスタンプが大人気になれば結構な収入になるようなのです。

こういった収入は給料ではないので先ほどでてきた「給与所得控除(=概算経費)」の規定はなく、自営業の方と同様収入と関係する経費しか差し引くことができないので扶養の基準となる38万円を超してしまいやすいから怖いですね。

 

まとめ

「給与所得控除」の説明に加えて扶養の判定をするときの注意点をまとめてみました。

どうしてもネットでは「年収」で判定する記事が目立ってしまいます。

その方がわかりやすい記事になるのでやむを得ない部分もあるとは思うのですが。

副業がある方はそういった記事を鵜呑みしては間違ってしまう可能性があるのでご注意ください!

子どもや親は「合計所得金額」が38万円を1円でも超えたらまったく扶養の恩恵を受けられなくなってしまう(配偶者は恩恵が徐々に減っていくので多少超えても影響は少ない)ので特に注意が必要です!

 

[今週の雑談]

Windowsの自動更新。

本来は便利な機能のはずですが、ひとつ不満が。

 

…なぜPCを持って出かけようとするときに限って更新しようとしてくるのか。

しかも「今は更新しない」という選択肢が見当たらない。

バッテリーが内臓されているので更新している間にACアダプターを外しても問題ないとは思うんですが、なんか不安になります…

更新なんて1日の作業終了時に手動でやるから時間を選ばせてほしいものです。

…自分が設定方法を知らないだけ?