「税理士事務所」と「会計事務所」は何が違うのか
税理士にはよく聞かれる定番の質問があります。
その中のひとつが
「税理士事務所と会計事務所って何が違うの?」
先に結論から書くと、実は
「どっちも同じ。」
なんです。
正式名称は「税理士事務所」 「会計事務所」は俗称
税理士が独立するとき、事務所の名称は
「(氏名)税理士事務所」または「税理士(氏名)事務所」
とする決まりがあります。
「税理士登録申請のご案内」という税理士会から配布される資料にもその旨が書かれています。
この根拠規定は税理士法第四十条第二項です。
(事務所の設置)第四十条 税理士(税理士法人の社員(財務省令で定める者を含む。第四項において同じ。)を除く。次項及び第三項において同じ。)及び税理士法人は、税理士業務を行うための事務所を設けなければならない。2 税理士が設けなければならない事務所は、税理士事務所と称する。
見てのとおり、どこにも「会計事務所」とは書いてありません。
あくまで正式名称は「税理士事務所」であり、「会計事務所」は俗称・屋号なんです。
では、なぜ事務所名を「税理士事務所」にせず「会計事務所」にする税理士がいるのか。
理由はいろいろ考えられますが
・「会計事務所」という名称が一般的に広く普及している
・税のことだけではなく「会計」にも詳しいことをアピールできる
あたりが主な理由かと。
かくいう私も事務所名は「税理士事務所」ではありません。
「鈴木税務会計事務所」を名乗っています。
「税務会計事務所」としているのは「税」だけでなく「会計」だけでもない、どちらにも精通していることをアピールしたかったという理由もありますし、あとは一番長くお世話になった勤務先の名称が「税務会計事務所」だったこともあり、敬意を込めて踏襲したかったというのもあります。
もちろん、事務所の正式名称は税理士法に則って「鈴木健一税理士事務所」としていますよ。
その他に似たような事務所名で「会計士事務所」とか「公認会計士事務所」もあります。
「会計事務所」と似ていますが、これらの名称を税理士が事務所名として使用することはできません。
これらの事務所名を使えるのは、事務所名のとおり「公認会計士」の資格を持っている方だけです。
Googleの検索結果で最も件数が多かったのは
ここまで紹介した事務所名称の中で何が一番メジャーなのか。
試しにChromeのシークレットモードからググってみました。
第5位は「公認会計士事務所」 6,680,000件
第4位は「税務会計事務所」 9,540,000件
第3位は「会計士事務所」 10,400,000件
第2位は「税理士事務所」 66,900,000件
そして栄えある?第1位は…「会計事務所」 430,000,000件!
件数の多さが一桁違っており、圧倒的でしたね。
やはり最も浸透している事務所名称といえそうです。
さいごに
Google検索で「税理士事務所」よりも「会計事務所」の検索件数の方が6倍も多いのはちょっと意外でした。
そこまで差があるとは。
そして「税務会計事務所」は「税理士事務所」の検索件数の6分の1くらいしかないのも意外でした。
そんなにマイナーな響きのつもりはなかったんですが…
街中でもよく看板を見ますし。
この分だとSEO対策的には「会計事務所」の方が検索されやすくなるのかな?
けど、個人的には税理士なんだから事務所名称の中には「税」をつけたい!というこだわりはあるので、今の事務所名に後悔しているわけではありません。
今回の記事を書いていて、あらためて事務所名称のつけ方の根拠となる税理士法の条文を確認したのですが
条文には
「税理士が設けなければならない事務所は、税理士事務所と称する。」
としか書かれていないんですよね。
税理士会が発行している登録申請案内を見れば「(氏名)税理士事務所」だけではなく、「税理士(氏名)事務所」もOKなんですが、その辺りのことは税理士法施行令か税理士法施行規則に書かれているのか。
調べてみましたが根拠となる条文は見つけられず、ちょっとモヤモヤしています。