思いきって伝票綴りをなくしていいか聞いてみた そして千枚通しと厚紙はいらなくなった

「これって、ほんとうに必要なのかな?」

業務の効率化を目指すなら、必ずもっておきたい選択肢。

それは

「その業務自体をやめる」

です。

 

千枚通しと厚紙で伝票を綴じるファイルを作る業務があった

税理士事務所での勤務時代、月末月初は定型業務にかなり時間を割かれました。

その中の業務のひとつが

「千枚通しと厚紙で、伝票を綴じるファイルを作る」こと。

 

初めて千枚通しを渡されたときは唖然としました。

「…これで何すんの?」

 

そして渡される厚紙。

「この厚紙を振替伝票のサイズに切って。伝票と同じ位置にパンチで穴開けて。」

「背表紙部分を作るために切れ込みを入れて折り曲げるから、そのときに千枚通しを使って。折りやすくなるよ。」

という先輩社員からの指示にしたがって、見よう見まねで作りました。

 

厚紙を振替伝票サイズに切って、穴を開けて。

 

つづり紐が見えないようにするため、背表紙用に左から1.8cm、2.0cmと幅を確保、そして伝票の厚さ分だけさらに確保してペンで線を書き入れます。

 

ここで千枚通しが役立ちます。

ペンで書き入れた線を千枚通しでなぞると、うまいこと線の部分できれいに折り曲げることができるんです。

 

これに同じく厚紙で作った表表紙、裏表紙を重ね合わせれば…

お手製伝票綴の出来上がり!

 

 

思いきって「やめさせてもらえませんか」と聞く

と、当時のことを思いだしながら、お手製伝票綴をわざわざ写真に撮りながら作ってみました。

これを見て

「すごい!うちの事務所でも自分達で作って経費の削減に!」

と思う事務所はあるでしょうか?

ないですよね。

 

お客さんへ渡すときに伝票綴が必要だったら、お店で買いましょう。

会計事務所専門の通販サイトにいけばいろんな伝票綴が売っています。

1冊100~200円くらい。

どう考えてもお手製の伝票綴を作成する事務所職員の人件費の方が高くつきます。

 

まぁ、伝票綴りをお店で買うか、自分で作るかはともかく。

私が言いたいのはそこではなく、

「伝票をファイルに綴じること自体お客さんが本当に望んでいるのか?」

ということ。

実は独立してからも、しばらくの間このお手製伝票綴は作っていました。

長い間作るのが当たり前となっており、やめることで「手抜き」と思われることが怖かったからです。

けれど、そのほかの業務の効率化を進めていくうちに、この伝票綴の手作り業務の非効率さが際立つようになり。

ついに決断しました。

思いきって、お客さんに伝票綴の作成をやめさせてもらえないか話をしてみようと。

 

お客さんが重視していないことで手間を省くのは手抜きじゃない

話してみたところ、お客さんにはあっさりと了承していただけました。

税理士事務所側が必要なものと思っていても、お客さんはけっこうどっちでもいいと思っていることは多いようです。

 

お客さんが重視していないことであれば、思いきってやめてしまう。

これが最も効率化につながります。

今回の伝票綴がいい例です。

伝票は税務上保存しておくべき書類ですが、何もきれいなファイルに綴っておかなければならないという決まりはありません。

税務調査でファイルに綴られていない伝票を提示したからと言って注意されるいわれもありません。

お客さんが資料を綺麗に保管することを重視していないのであれば、きれいに綴る手間を省くことは「手抜き」じゃありません。

もっとお客さんにとって価値があるものを生み出す時間を確保するための手段です。

そのことを丁寧に説明すれば、お客さんも「手抜き」ではないとわかってくれるはず。

 

「この業務、ムダなんじゃないかな…」

そう感じている方。

たぶんその業務はムダです^^

ぜひ、やめる方向でお客さんに提案してみましょう。