預金通帳の内容をレポート用紙に手書きしていた時期があった。 お客さんへの配慮が効率化の妨げになっていないか

通帳とレポート用紙とペン

もう10年以上前の話です。

その頃の自分は会計事務所に転職したてでまさに右も左もわからない状態。

ただ幸いなことに転職した会計事務所の先輩達はわからないことについては丁寧に教えてくれるかたばかりだったので、なんとか仕事のやり方を身につけいていくことができました。

他の会計事務所の仕事のやり方を知らないのもあって、教わったことには素直に従っていたと思います。

 

ただ、さすがにこれはどうなんだろうと思ったやり方があります。

それは記帳代行を請け負っているお客さんの会社に訪問したときに

 

預金通帳の内容をレポート用紙に書き写すこと…

 

電気代・インク代をお客さんに負担させるべきじゃない?

お客さんの会社に訪問して、挨拶もそこそこにレポート用紙を取り出し預金通帳を見ながらそこに書かれた日付、摘要、金額をメモしていく…

後日そのメモを見て会計ソフトへの入力作業を行うためです。

 

はじめて先輩と同行して書き写すよう指示を受けたときはそれはもうびっくりしました。

「えっ、すぐそこにコピー機あるのに……手書き…!?」

ただ、お客さんの前で先輩に意見するわけにもいかず、ひとまずその場では指示どおりに作業しました。

 

会社をでた後、すぐに先輩に聞きました。

「なんで、コピー機借りないんですか?」

先輩は言いました。

「コピー機借りたらお客さんが電気代やインク代を負担しなきゃいけなくなっちゃうでしょ!」

 

……うーん、お客さんに余計な経費をかけさせちゃいけない。

その配慮自体は理解できるのですが、その結果が通帳の手書きというのはどうなのか。

コピーと比べてはるかに時間がかかるし、書き間違いのリスクもあります。

実際その先輩も書き間違いをすることがあり、会計ソフトの残高が実際の預金残高と合わなくてお客さんに電話で問い合わせたりといったことが何度もありました。

事務所から車で1時間位かかる地域に10件くらいお客さんがいて、ほとんどのお客さんでこのやり方をしていました。

1日で一気に訪問して数ヶ月分の資料を預かっていたので1件あたり滞在できる時間にも限りがありました。

 

その貴重な時間を書き写しに使うより、お客さんとの打合せに時間をかけるべきなのでは…

電気代やインク代はもちろんかかるのでしょうが、それは記帳代行に必然的にかかるコストとして認識すべきものでは…

 

多くの疑問を持ちましたがその先輩は60歳を超えた大ベテラン。

20台半ばのペーペーが意見なんてできません。

その先輩が退職するまで、疑問に思いながらもそのやり方を続けました。

 

 

実はお客さんも疑問に思っていた

先輩が退職した後は自分一人で訪問できるようになったので、思いきってお客さんに聞いてみました。

「コピー機…お借りできませんか?」

 

「ええ、どうぞどうぞ。」

…あっけなく了承してもらえました。

そしてこうも言われました。

「なんでコピー機使わないのか、いつも不思議だった。」

と。

 

お客さんも疑問に思っていたけど、専門家がやってるやり方なんだから素人の自分が口をだすべきじゃないと考えていたようです。

 

書き写しほどじゃなくても自分も非効率的な作業をしてきていた

こうして通帳の内容を書き写す作業からは解放されました。

ただその後の仕事のやり方を振り返ってみると、書き写し作業ほどでなくても自分も非効率なことをしていたな~と反省すべき部分が多々ありました。

 

例えば

「お客さん側で作成したExcelの現金出納帳を印刷してもらい、自分が会計ソフトへ入力する」

というやり方。

 

お客さんがExcelで現金出納帳を作成できるのであれば、その内容をそのまま会計ソフトへ取り込む形式さえ整えることができれば自分が再入力する必要はありません。

会計ソフトへ取り込む形式を整えて、紙ではなくデータで受け渡しができれば間違いなく効率化につながります。

 

これまで現金出納帳を手書きでしかつけたことがなかった、という方もいます。

Excelへの入力に抵抗がない方であればExcelで現金出納帳を作った方がお客さん自身の効率化にもつながります。

事前に正しい計算式さえ入力しておけば毎日の現金残高を電卓で集計する作業は間違いなく不要になりますから。

Excelへの入力という壁さえクリアできればExcelでの現金出納帳導入はお客さん、税理士双方にメリットがあるはずなんです!

 

勇気をだして新しいやり方を提案していく

そうは言っても新しいやり方を提案するのは勇気がいります。

経理、会計という分野はミスがないことをまず求められるので、そのやり方について数十年一切変えたことがないという会社は珍しくありません。

また新しいやり方を導入しようとする場合、経理畑の方はどちらかと言えば消極的な方が多いと感じています。

新しいやり方でミスをしたら経理の方の責任になってしまうので、今までと同じやり方でいきたいと思うのもムリのないことでしょう。

 

新しいやり方の提案は税理士側にも

「余計な提案で社内を混乱させないでくれ!」

と不満をもたれてしまうリスクがあります。

 

それでも私は自分が覚えた効率的と感じているやり方は提案し続けたいと思っています。

新しいやり方に慣れさえすれば、以前のやり方に戻りたいと思うことは自分自身これまでにほぼなかったので。

 

無理強いするのではなく、新しいやり方に変えることによるメリット、そしてデメリットを正直に伝えてそのうえで

「これだけメリットがあるならやってみたい!」

と思ってもらえるような提案をしていきたいと思います!

 

[今週の雑談]

今使っているシャンプーはなくなる度に詰替え用を使ってきましたが、本体をずっと変えないのは衛生的によくないと思いひさしぶりに本体を買いました。

ビックリしたのが、えらく容器がスリムになっていること。

内容量を見たら

以前の容器:520ml

今回の容器:370ml

…150mlも減ってる!!

ここ最近食料品がお値段据置で内容量がドンドン減ってる、的な記事をよくネットで見ていましたが生活用品もか!

と思わずにいられませんでした。

今回のシャンプーがお値段据置なのかはわかりませんが。

食料品の場合は量が減れば賞味期限前に食べきれる、取得カロリーが減るのでダイエットになるかも的なメリットが多少は思い浮かぶのですが、特に使用期限もないであろうシャンプーは詰め替える手間が増えるだけでメリットないよな~とちょっと切なくなりました(泣)