税理士試験の受験者数は減少傾向が続く… その原因を考えてみた

先週の金曜日に税理士試験の合格発表がありました。

合格された皆様、おめでとうございます!

 

受験者数の減少が続いている

税理士試験の受験者数が年々減少しています。

私が受験していた頃は講師の方が

「税理士試験の受験者数は約5万人」

と仰っていたのを覚えています。

それがいまや今年の受験者数は約3万人…

受験者数の推移をまとめているサイトで確認すると平成21年の受験者数が51,479人。

当時は約5万人受験していたのに、そこから約10年で2万人減少…実に4割減!

いくら少子化の影響があるといっても、原因はそれだけじゃないでしょう。

 

税理士試験が敬遠される理由

・受験期間が長くなりがち

・合格基準が不透明

・就職・転職状況が売手市場になり、わざわざ資格取得をする必要性が薄れた

・AI等の発達により税理士業務自体が将来なくなる、と悲観されている

・税理士業界の労働環境が他業界と比べてよくない

 

思いつくままに受験者数が減少している理由を挙げてみました。

以下それぞれの理由について私見を。

 

・受験期間が長くなりがち

受験期間は2~5年が標準という記事をよく見ますが、2年で合格するなんて一部の天才以外まずムリです。

じゃあ5年という期間は標準なのか。

これも仕事をせずに受験に専念していれば十分可能性はあると思いますが、仕事をしながらでは非常に厳しいです。

1年に1科目ずつの受験なら5科目合格するまで一切の取りこぼしが許されません。

複数科目を受験しても、1科目もとれない年なんてフツーにあります。

合格の年、不合格の年織り交ぜて6~10年とする方が標準期間というには妥当だと思います。

 

・合格基準が不透明

今年から不合格だった場合に点数が公表されるようになったようですが、配点箇所と配点が公表されていないのであまり意味がないような…

合格点が60点の試験で、59点で不合格なんて通知をもらう位ならまだ昨年までのように「A判定」(51~59点で不合格という意味)の方がマシだと思います。

配点箇所と配点まで公表されているんだったら来年の試験に役立てられるのでアリだと思いますが。

 

・就職・転職状況が売手市場になり、わざわざ資格取得をする必要性が薄れた

自分の転職時期は完全な買手市場で、資格を持っていたって未経験者じゃ門前払いという状況でした。

それが今では完全な売手市場。

資格勉強をしなくたって自分が望む業界・業種へ就くことができるとなれば好き好んで税理士試験といういばらの道へ進む人は少なくなるでしょう。

 

・AIの発達により税理士業務自体が将来なくなる、と悲観されている

この先完全に税理士業務がAIに奪われてしまうとは思いません。

奪われたら自分が食っていけなくなるので希望的観測込みですが(;^^A

確かに単純なデータ入力業務などは現在進行形でガンガンなくなってきていると思いますが。

税理士としては自分でAIを使いこなし、使いこなし方をお客さんに提案できるような立場になれればやっていけるんじゃないかと。

そのための勉強は当然必要ですが、従業員を雇わない「ひとり税理士」を目指すならAIは頼もしい味方にできるんじゃないかと思います。

 

・税理士業界の労働環境が他業界と比べてよくない

私はロクに下調べもせずこの業界に転職してしまいましたが。

あの頃もっと税理士業界、特に税理士補助業務の労働環境を調べていたらそもそもこの業界に入らなかったかもしれません。

ただ私自身は繁忙期の残業は避けられなかったものの、

パワハラもなかったし

先輩方はみんな仕事を丁寧に教えてくれたし

理不尽に怒鳴られることもなかったし

完全週休二日制だったし

残業代はきちんとでたし

いいところに転職できてよかったと思える職場でした。

実際周りの受験仲間から聞くと相当ブラックな事務所もあったので、自分はたまたまラッキーだっただけかもしれません。

それでも今は税理士業界も完全な人手不足なので、簡単に辞められないためにも労働環境は改善されてきているのではないかと思うのですが…

 

逆張りのチャンスですよ!

税理士試験の受験者が減少している、ということは相対的に試験合格者の価値が高まっているといえます。

今回の試験の合格者数は672人。

前年より123人減少で1.5割減。

私が受かった5年前の905人と比較すれば3割減少しています。

税理士事務所側は職員として一定の知識量が担保されている科目合格者や試験合格者を欲しがるのでただでさえ売手市場の昨今、科目合格者ましてや試験合格者は非常に有利なはず。

売手市場が将来的に続く保証はないですし、同期がたくさんいる場合社内での出世競争は私たちの世代より厳しくなるはず(出世競争にまったく縁がなかったので完全な想像ですが)。

資格試験に目を向ける人が少なくなっている今、逆張りであえて試験にチャレンジして結果をだしておけば将来的に転職OK、いざとなれば独立だってOKの引く手あまたの人材になれると思います!

 

[今週の雑談]

税理士試験合格者は合格発表日の官報に氏名が掲載されます。

知人の合否を確認するため官報を見ていると…

自分と同姓同名の方の名前を見つけました!

受験場所も自分が合格した年と同じ埼玉県だったので、デジャブ感がすごかったです笑

まったく存じ上げませんが、鈴木健一さん合格おめでとうございます!

このブログを見る可能性は低いと思いますが(^^;)

無事税理士登録が完了すればあなたが全国で5人目の鈴木健一税理士です!

(税理士名簿に「鈴木健一」さんは現在4名載っていて、私は4番目の登録者です。)