この取引は「事務用品費」?「消耗品費」?…答えは「どっちでもOK!」
※会計ソフトにはたくさんの科目が並んでいますが使う科目は限られます
「この取引の勘定科目はどうすべきですか?」
「この取引は「事務用品費」ですか?それとも「消耗品費」ですか?」
税理士がお客さんから受ける問い合わせで上位にくると思われるのがこの勘定科目に関する問い合わせです。
(「勘定科目」という用語自体長ったらしいので以下「科目」と書きます)
科目は自由に決められることが多い
例えば仕事で使う「電卓」を買ったとします。
これは「事務用品費」にすべきでしょうか?それとも「消耗品費」にすべきでしょうか?
すでにタイトルに答えを書いてしまってありますが、答えは
「どっちでもOK!」
ただ開業したての方以外はここに
「以前電卓を購入したときと同じ科目を使ってください!」
と付け加えることになります。
「事務用品費」でも「消耗品費」でもどっちでもいい理由。
それはどちらも仕事上の経費であることに代わりはないからです。
ひとりで仕事をしている方なら自身の感覚でピンときた方を選べばOKです。
ただ新しく経理職に転職してきた方なんかは上司に聞いたり以前電卓を購入したときの科目を検索できれば同じ科目を使うのがいいでしょう。
というのは使う科目はどっちでもよくても一度選んだ科目は継続して使うべきだからです。
同じモノを買って前期までは事務用品費で計上しているのに当期は消耗品費、としてしまうと継続性がなくなってしまい前期と比較する意味がなくなってしまうのです。
もちろん前期までは事務用品費と消耗品費を区別していたけど区別するメリットが特にないので当期から消耗品費に一本化しよう、と当期からルール自体を変更して今後はそれを継続するのはOKです。
制限がかかるのは税務と関わりがでてくる取引
自由に選べる科目がある一方で「必ずこの科目を選んでほしい」という取引もあります。
それは
「税務と関わりがある取引」。
例えば
収入印紙の購入代は必ず「租税公課」を選ぶべきです。
税金に関わる経費の科目は「租税公課」以外考えにくいから、というのもありますが大きな理由は「消費税がかからないから」です。
各科目は「消費税がかかるもの」「消費税がかからないもの」にあらかじめ分類されています。
収入印紙は印紙税という税金そのものなので消費税はかかりません。
「租税公課」で計上すれば「消費税がかからないもの」として設定されているのでそれ以上の処理は不要ですが、仮に「消耗品費」で計上すれば「消耗品費」は「消費税がかかるもの」と設定されているのでいちいちその設定を修正しないといけなくなってしまいます。
もう一つ例をあげれば
「交際費」。
取引先との飲食代などがこの「交際費」に該当しますが、実はこの「交際費」、法人の場合は税務上いろんな制限があります。
大企業は税金を計算するうえで原則経費にできなかったり、中小企業でも年間800万円超は経費にできなくなったり。
そうなると税務上「交際費」に該当するものは最初から「交際費」一本でまとめておいた方が効率的です。
決算書上で「交際費」の金額が大きくなるのは見栄えがよくないので一部他の科目で計上しておいて、税務上「交際費」として再計算する方法もありますが…効率的とはいえません(–;)
経営者自身が関心をもてる科目選び・科目づくりをしよう
経営者自身が関心をもてるような科目選びも大事です。
会計ソフトでは新たに科目、補助科目をつくることができます。
初期設定では一般的な業種の科目しかないので、業種によっては「ピンとくる科目がないな…」という取引もでてくるでしょう。
その場合中小企業なら経営者にとってわかりやすい名称で新しく科目を作ってしまう方がスッキリすると思います。
また経営者自身が関心をもてるような補助科目をつくるのもよいでしょう。
例えば「仕入」や「材料費」に補助科目で各取引先を設定しておけばどこからいくら仕入れているのかがすぐわかるようになります。
電気代のムダを削減したいと考えていれば「水道光熱費」を補助科目で「電気」「水道」「ガス」など項目別に分けておけば電気代の増減のみを比較できるようになります。
「売上」を得意先別に把握するのもありだし、種類別に把握するのもありだと思います。
せっかく作成する会計データです。
税金計算のためだけでなく経営改善の役に立つ、自分が見たくなるデータを作成したいですね。